202008 市況

FOMC議事要旨では次回9月の会合での追加緩和が示されず、イールドカーブ・コントロール導入に否定的な見解が示されたことから、ドルが欧州通貨や円に対して上昇しました。

しかし、議事要旨では、
1. 労働市場は完全な回復には程遠い状況
2. 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、インフレよりデフレに警戒が必要
3. 米経済の下振れへの懸念を繰り返し強調
とされ、さらに家計所得や企業収益の減少により、製造業やサービス業など非金融業のレバレッジ拡大を問題視したほか、金融業でも貸出が回収不能となる不確実性が指摘されました。

こうした認識が示されたこともあり、9月FOMCでは依然として将来的に物価上昇率が2.0%を超えた場合でも、すぐには利上げをしないといった先行きの方針(フォワドガイダンス)が示される可能性もあるかもしれません。

 

現状では、2022年までゼロ金利政策が継続されると見られているものの、2023年以降もゼロ金利政策が継続されるとの見通しが高まれば、米長期金利の低下につながり、ドル売りに拍車が掛かるかもしれません。

これまで、各国通貨の強弱は「金利差」を主体に為替動向を大きく左右してきましたが、各国中銀が緩和競争を本格化させたことで、為替市場のボラティリティの低下につながりました。さらに、利下げや量的緩和拡大も限界が近いとされる中、物価目標の引き上げを巡る競争という新たなステージに入るかもしれません。そうなれば、世界的な超低金利の状況が一段と長期化することにつながりかねません。

パウエルFRB議長の講演で米長期金利の低下が加速することになれば、ドル円は再度105円割れをトライするかもしれません。