9月相場

日経平均株価は8/29(火)に一時19,280円02銭まで下落し、5/1(月)以来の安値水準を付けました。この日の早朝に北朝鮮が本年14回目のミサイル発射実験を行い、地政学的リスクが再燃したことが響きました。しかし、税制改正への期待もあり、米国株式市場でナスダック指数が過去最高値を更新したことが好感され、日経平均株価も9/1(金)には一時19,735円96銭まで値を戻しました。

こうした中、9/1(金)に米国で8月雇用統計の結果が発表されました。非農業部門雇用者数が前月比15.6万人増と予想(18万人増)を下回り、失業率は4.4%と前月から0.1%悪化しました。また、時間当たり賃金(前年同月比)も予想(2.6%)を下回る2.5%にとどまりました。反面、同じ日に発表されたISM製造業景況指数は予想に反して上昇し、2011年4月以来の高水準を記録しました。

予想を下回ったとはいえ、雇用統計における非農業部門雇用者数は過去3ヵ月、月平均で18.5万人増加した計算になります。FRB米連邦準備制度理事会)は完全雇用(失業率4.6%)状態下での雇用は10万人増で十分とみているようで、米労働市場は引き続き順調に拡大していると考えられます。しかし、「9/20(水)に結果が発表される9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では資産縮小が決定されるものの、年内の追加利上げの可能性は小さい」という市場の見方にも大きな変化は生じませんでした。したがって、通常であれば、イベントリスク後退を受けた9/4(月)の東京株式市場は買い先行になっても不思議ではなかったとみられます。

しかし、9/3(日)に北朝鮮が6回目の核実験を行ったことで、再び地政学的リスクが意識されることになりました。北朝鮮の非核化は一層難しくなったと考えられます。9/4(月)および9/5(火)の日経平均株価は下落し、8/29(火)に付けた安値水準が意識される展開になりました。

なお、9/4(月)に中国当局が仮想通貨発行による資金調達を全面的に禁止したこともあり、ビットコイン相場が波乱となっています。仮想通貨市場には個人投資家の多くも参加しているとみられ、その相場変動が株式市場に影響を与える可能性も無視できないとみられます。9/4(月)および9/5(火)に日経平均株価が下落するのに合わせ、ジャスダック市場や東証マザーズ市場も大きく下げています。